浄化槽の種類
単独浄化槽
写真のような単独浄化槽は、数々のメーカーが、たくさんの種類の浄化槽を製造いたしましたが、平成13年から新設が禁止されております。
理由は、現在の環境基準には沿っていないからです。
しかし、「強制的に既存のものを撤去」というわけにはいきませんので、合併浄化槽への入れ替えが求められております。
①全ばっ気式の浄化槽
ばっ気槽と消毒槽にしか分かれておらず、早くから製造が中止されました。
処理能力に劣るため、年2回の清掃(汲み取り)が必要とされております。全ばっ気式の浄化槽は、トイレの排水が浄化槽に流入してくると同時に、エアーもしくはプロペラなどで撹拌されます。
これは、分解して細かくし、酸素を好む微生物の力でさらに分解しやすくするためです。
②分離ばっ気式の浄化槽
最初に、固液分離するための「沈殿分離室」が設けられており、固液分離後の中間水がばっ気槽へ送られます。
①の全ばっ気式に比べ、微生物への負担が少ないのが特徴です。
沈殿分離室の堆積状況や、ばっ気槽の負荷の程度をみて、1年に1回の清掃(汲み取り)が必要とされております。(溜まっていないようでも、濃い汚泥が曝気槽へ流入する場合があります。)
③腐敗式の浄化槽
①や②とは逆で、酸素を好まない微生物による浄化を利用した装置です。
①と同様、早くから製造が中止された経緯をもつ浄化槽となります。
こちらも、1年に1回の清掃(汲み取り)が必要です。
合併浄化槽
家庭用の小型合併浄化槽はトイレの排水よりも、その他の排水が河川や海に大きなダメージを与えている状況を考慮し、設計されています。汚いものとして家庭内から排除&排出される残飯・油脂・洗剤が河川に負荷を与えるため、それらを各家庭で処理するために考えられました。
以下の5種類の処理方式が示されております。
・活性汚泥の長時間曝気方式
・活性汚泥の標準活性汚泥方式
・生物膜法の回転板接触方式
・接触曝気方式
・散水炉床方式
しかし、これらは旧構造基準にある長時間ばっ気方式を主とした活性汚泥法です。
そのため、小・中学校あるいは公民館のような低濃度、低負荷を汚水に適用し、機能低下を生じたり、余剰汚泥生成量の誤算から浮遊物質流出を生じたりしてきたのです。
浄化槽の処理方法
浄化槽の役割はずばり、河川や海の水質を悪化させるような水を排出させないことです。そのために、様々な浄水方法が考えられております。
処理方法には好気性処理と嫌気性処理などがあり、それぞれ好気性細菌、嫌気性細菌と呼ばれる微生物が使われます。好気性細菌とは、溶存酸素を使って有機物を分解する細菌のことをいい、嫌気性細菌は無酸素の状態で有機物を分解する細菌を指します。
有機物及びりん・窒素の生物による処理方法は、排水中の有機物、及びりんや窒素を微生物の浄化作用を利用して処理されます。
<生物処理法には>
1,活性汚泥法
好気性の微生物群(汚泥状のため活性汚泥と呼ばれる)を排水中に分散懸濁させて処理する方法。
2,回転円板法
排水が滞留する槽内で円板を回転させ、円板表面に付着した微生物膜により処理を行う方法。
3,接触酸化法
ばっ気槽内にネット状やパイプ状の充填物を設置し、充填物に付着生成した微生物膜を利用して排水を処理する方法。処理は安定しており維持管理が容易。
4,嫌気性処理法
嫌気性処理法は、一般に消化あるいはメタン発酵法と呼ばれ、酸素のない状態で嫌気性細菌により有機物を分解処理する方法。
5,生物的窒素、りん処理法
①生物的脱窒素
排水中のアンモニア態窒素は、ばっ気槽内の酸化的条件下で、亜硝酸菌あるいは硝酸菌などのいわゆる「硝化菌」の作用を受けて亜硝酸や硝酸イオンに変化いたします。次にこの排水を嫌気槽に導いて酸素を断つと、これらのイオンに含まれる酸素が微生物に利用され、窒素ガスが放出されます(硝化反応)。
②生物的脱りん
水中のりんは微生物の体内に吸収・蓄積されます。これは、嫌気性状態に置かれると対外に放出されます。しかし、微生物は再び好気条件になると放出した以上の量のりんを吸収する性質を持っており、この性質を利用したのが、生物的脱りん処理です。
③生物的脱窒素・脱りん
現在、窒素とりんを同時に処理するシステムも考案されております。